2014年度 発表会

2014年度 発表会

ニーズ& アイデアフォーラム(NIF)
日時 2015 年3 月7 日(土)10:00 – 16:15
場所 TOC 有明コンベンションホール(4F) W-1, 2 ホール
主催 ニーズ&アイデア フォーラムプロジェクトチーム

ニーズ&アイデアの展示発表をテーマ毎に10:00 – 12:45、口頭発表を13:05 – 13:45、および参加4校からのニーズ&アイデアプロジェクト総括を15:10 – 15:30 に行った。ブースは8ブースで、数ヶ月けて試作してきた作品が並んだ。口頭発表では、各チームメンバーの所属学校と役割分担から始まり、展示の作品に至ったニーズ調査・試作の経緯の説明があり、ビデオも駆使して説明がされた。展示では、体験型の展示が多く、参加者(障害のある人、医療系、福祉系、工学系の職員、福祉関連機関・企業の人)と意見交換をしながら説明を行った。参加した学生さん等の熱意と創意工夫が伝わったのか、参加協力などの好意的な声が多々あり、後ほど当センターに訪問したいという人もいらっしゃった。

プログラム

10:00 – 12:45

ニーズ& アイデアプロジェクト 参加学生の成果展示

13:00 –

1. 開会の挨拶
国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局 飯島節
2. ニーズ& アイデアプロジェクト 成果発表

13:45 –

3. 当事者、専門職によるコメント:
企業側 酒井医療(株)在宅事業部部長 松本明彦氏
当事者側 UD 啓蒙講師 鈴木ひとみ氏
医療専門職 横浜市総合リハビリテーションセンター 日本作業療法士協会 福祉用具対策委員長 渡邉慎一氏

15:00 –

4. 国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局の紹介
国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局 三好尉史
5. 参加各校からのニーズ& アイデアプロジェクト総括
千葉大学 社会医学技術学院 東京電機大学 埼玉大学

15:30 –

6. 講演
南浩一氏
「 パラリンピックに出場して  (選手の目から見たニーズ& アイデア)」
鈴木ひとみ氏
「 2020 年東京オリンピック・パラリンピックと、その後に向けて私達ができること」

16:10 – 16:15

7. 閉会の挨拶
国立障害者リハビリテーションセンター研究所 小野栄一


総括コメント

松本 明彦氏(まつもと・あきひと)
1977 酒井医療株式会社入社 以後営業現場経験20年
1997 本社勤務 マーケティング部、営業企画部、入浴装置事業推進部、新規事業推進部など
2013 住宅事業部 部長
入浴装置事業推進部 自立支援浴槽「バンジーi」
新規事業推進部で「リハビリテーション強化型高齢者住宅」リハモード・ヴィラの企画、開設、運営を担当
http://reha-mode.com/
http://www.sakaimed.co.jp

総括コメント要旨

<会社の紹介>
明治14 年、1881 年創業。今年で創業134 年目である。昭和前期が戦前の絶頂期であり、心電図の原型となる装置を開発。その他にも、車椅子、フィットネス器具を販売しており、その頃か
らリハビリテーションに関係していた。現在では介護支援機器開発の比重が高いが、最近では、在宅で使用できる自立支援機器にも力を入れている。ニーズを把握し、その検証を行うために介護保険サービス事業も運営している。
<コメント>
目の付け所の良さに驚いた。それを斬新なアイデアで解決するところにも感心した。ただし、商品としてものづくりをしている立場からは、開発して終わりではなく、ユーザへ商品を使ってい
ただくことが重要であると考えている。そのため、価格が一番重要となり、値段を決定する上では、製作する数量が問題となる。海外で販売する場合には、海外の生活習慣への配慮も必要な要素である。これまでは、機能と安全性のみ重視され、デザインがおざなりにされていたが、今回は、その点についても非常に配慮されており、今後の日本のものづくりにおいて非常に心強く感じた。

鈴木ひとみ氏(すずき・ひとみ)
1981 82年度ミス・インターナショナス準日本代表に ミス・ネーショーン世界大会 ミス・エレガンスに選出
1983 モデルデビュー
1984 仕事の帰路、交通事故に遭った
1985 身障者の国体に出場 2種目に大会新記録で優勝
1987 国際ストークマンデビル競技大会金メダル
2004 アテネパラリンピック、射撃で出場
現在 UD啓発講師、NHK障害者福祉賞審査員、射撃の選手(ピストル)、企業のバリアフリーのアドバイスのかたわら執筆活動

総括コメント要旨

<自己紹介>
当事者の立場として参加。現在の仕事は講演が主であるが、アパレルメーカや車椅子メーカ等と契約しアドバイスを行っている。例えば、介護する側とされる側が使用するジャージのデ
ザイン等。福祉用具を使用している人の中には妥協して使用している人が多いが、そのことに対して自覚していないことが多いため、その点をアドバイスしている。
<コメント>
メリットとデメリット、アドバイスを個々のテーマについて説明された。例えば、手足の不自由な人が提案された長座位車椅子を漕ぐのは困難と思うが、アイデアとしては悪くないと思う。これまで、頚椎損傷者の人はこのようなものを欲しいと思っていてもなかなか言えなかったのではないかと思う。体幹用床ずれ防止クッションは、非常に興味深く、旅行等に持っていければ便利だと思う。栓を抜くことで空気が入るクッションがあるので、この方法を採用すればポンプが必要なくなると思う。把持リハビリ用品は退屈なリハビリを楽しくするためにあったらいいとは思う。ただし、握るといっても親指だけなので、他の指に対するツールもあればより良い。

渡邉 慎一氏(わたなべ・しんいち)
1983 九州リハビリテーション大学作業療法学科卒 門司鉄道病院勤務
1985 米国ローマリンダ大学作業療法学科留学
1987 横浜市総合リハビリテーションセンター
2002 厚生労働省 老健局振興課福祉用具・住宅改修指導官
2005 横浜市総合リハビリテーションセンター
現在 同施設 医療部担当部長
一般社団法人神奈川県作業療法士会 会長
一般社団法人日本作業療法士協会 制度対策部福祉用具対策委員長
一般社団法人福祉用具専門相談員協会理事
厚生労働省福祉用具・住宅改修評価検討委員など
福祉用具専門相談員研修用テキストに携わる他、著書も多数出版

総括コメント要旨

総括的な感想としてニーズの把握、視点の持ち方について紹介。福祉用具を使用する際には、装着の難しさがある。それを乗り越えてまで福祉用具を使う目的は、自立の支援、日常生活の活性化、および安全・安心な暮らしを支えることである。
<生活のニーズの把握>
生活のニーズを把握するためには、日常の生活動作、日常生活関連動作、社会生活で必要な動作、余暇活動に着目する必要がある。日常生活動作を対象とすると、環境要因が大きくなるため、ターゲットを絞り込むのが重要。
<生活動作を見る視点>
生活動作を見る視点としては、動作・行為、場所、および時間に着目するべきである。それによって、動作および行為のパフォーマンスが異なってくる。
<廃用症候群と御用症候群>
福祉用具を使用することで身体・生活にどのように影響するのか、といった視点も今後重要となる。自分でできることはできる限り自分で行い、できないところを福祉機器および福祉用
具で補完する。欧州では、できる限り自力を促すことが自立支援のベースである。