2015年度 発表会

2015年度 発表会

第2回
ニーズ&アイデアフォーラム(NIF)
日時 2016 年3月6日( 日) 9:30 – 16:30
場所 東京電機大学 東京千住キャンパス100周年ホール
主催 国立障害者リハビリテーションセンター
NIFプロジェクトチーム

ニーズ&アイデアの展示発表を午前・午後と行い、口頭発表を13:00~14:00、および参加8校からのニーズ&アイデアプロジェクト総括を15:25~16:25に行った。ブースは13ブースで、何か月もかけて検討・試作してきた作品が並んだ。口頭発表では、展示の作品に至ったニーズやそれに対するアイデアの説明があり、わかりやすくパワーポイントやムービーを駆使して説明がされた。展示は、体験型が多く、参加者(障害のある人、福祉・教育に関心ある人、企業の人など)との意見交換で賑わった。学生の成果以外に義肢装具サポートセンターからスポーツ用義肢など、共用品推進機構から様々な共用品、首都大学から子供の生活する支援機器などの展示協力もあった。8校から総括の口頭発表を聞き、異分野の学生がチームで取組み学んだこと、熱意を知り感動して涙している人もいた。

プログラム

9:30~

開場

10:00~

開会の挨拶
国立障害者リハビリテーションセンター 自立支援局長 飯島 節

10:10~

特別講演「スポーツ用義肢の世界」
臼井 二美男氏 (公財)鉄道弘済会 義肢装具サポートセンター、ヘルスエンジェルス 代表

10:55~

展示
※学生の成果展示、他に、スポーツ用義肢、共用品、発達支援機器、ロボットなどの紹介

13:00~

ニーズ& アイデアプロジェクト 成果発表

14:00~

ゲストによるコメント
東 祐二氏  厚生労働省老健局 福祉用具・住宅改修指導官
星川 安之氏 (公財)共用品推進機構 事務局長

14:40~

展示

15:25~

各学校からのニーズ& アイデアプロジェクト総括(8校)

16:25~

閉会の挨拶
国立障害者リハビリテーションセンター 研究所長 小野 栄一

16:30

終了


総括コメント

東 祐二 氏( ひがし・ゆうじ)
1985年 熊本リハビリテーション学院作業療法学科卒 作業療法士国家資格取得
1985年 新所沢潤和病院 作業療法士
1988年 潤和会記念病院 作業療法士
1991年 社団法人八日会藤元病院 セラピスト室 主任作業療法士
1999年 同 セラピスト室 室長
2014年 厚生労働省老健局振興課 福祉用具・住宅改修指導官
現在 同局高齢者支援課 福祉用具・住宅改修指導官。
この間、放送大学教養学部2002年卒業(発達と教育専攻)、金沢大学大学院自然科学研究科システム創成科学専攻2007年修了、博士(学術)。
教育面では熊本リハビリテーション学院(1997年~2014年)、千葉県立保健医療大学(2010年~2013年)、宮崎リハビリテーション学院(2012年~2013年)にて講師。
また、NEDO独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「人間支援型ロボット実用化基盤技術開発事業」推進委員(2005年~2006年)、第46回日本作業療法学会の学会長(2012年)、その他、日本作業療法士協会保険部長、常務理事など歴任。
私は作業療法士で、現場に30年ほどいました。現場ではいろんな福祉用具を開発したり、実際に現場に投入してみたり、障害者や介護の方が使う道具を、いかにして使いこなすかに注力してまいりました。今日、皆さんの話を聞いていて非常におもしろいなというか、昔、通ってきた道だなと思いながら聞かせていただきました。全部にコメントしようと一生懸命聞きました。デザイン性や工学的なところ、それから臨床的な観点で皆さん取り組まれたということなので、それを考慮したコメントをいたします。
(※以下、すべての展示にコメントを頂いた。誌面の都合で一部を短く掲載)
むくみシリーズですが、靴擦れを防ぐソックス。足部だけのむくみに対応ができそうな感じです。下腿部のむくみは、原因がいろいろあります。ものによっては、足先だけでやっても意味がなくて、いろいろなアプローチを一緒に組み合わせてやる必要があります。例えば、リンパ浮腫が原因の場合、まさに先端だけでは対応できず、それをはめただけでは解決に結びつかないので、できるだけ原因論を突き詰めるといいと思います。
次に、脊髄損傷の方のレインコート。棒状のものを使って、折りたたむというのはすばらしいアイデアでした。なかなか気づかない。気づいても、棒が別に置いてあって、それに巻き込むとか。あれが上手く、内包されているのはいいと思います。ポイントは、我々が車から傘を出して出るときと変わらないことを目標にして、それを達成できればいいと思います。
次にガーデニングの作業ですが、これもすばらしいと思います。作業プロセス全体を考えると、集めた葉っぱを処理する段階が出てきます。集めて、拾い上げて、何かに入れるとか、混ぜるのか、そんなことが想定されますが、そういうところまで次は進むのだろうと思います。
最後にまとめます。アイデアがあったら、それをまず形にしてみることが非常に大事。形にしたら、試してみることが大事。もう1つ大事なのは、既存のものと、自分たちが考えたものはどこが違うのだろうと、しっかり検討した方がいいと思いました。さらに一番大事なのは、使っている方が満足すること。それぞれ面白いアイデアばかりなので、先に進めていただければと思います。

星川 安之 氏(ほしかわ・やすゆき)
1980年3月 自由学園 卒業
4月 株式会社 トミー(現 タカラトミー)入社
9月 同社、HT(ハンディキャップ トイ)研究室 新設・配属
1990年4月 (社)日本玩具協会「小さな凸」実行委員会発足 事務局次長に就任
1991年4月 E&Cプロジェクト 発足 事務局長に就任
1999年4月 財団法人共用品推進機構 設立 専務理事に就任
2014年  工業標準化事業 経済産業大臣表彰受賞
現在  公益財団法人共用品推進機構 事務局長・専務理事
他に、(社福)日本点字図書館(2002年より)と(一財)日本規格協会(2010年より)の評議員、日本福祉大学非常勤講師(2010年より)、(株)タカラトミー社長室(フェロー)。
著書に「共用品という思想」、「アクセシブルデザインの発想」など多数。
共用品は30年ほど前からユニバーサルデザイン、バリアフリーが日本に入ってくる前から、障害があるなし、年齢の高低にかかわらず、一緒に使えるものを指す言葉がなかったので言葉からつくり始め、いろいろな企業、障害者団体、高齢者団体及びそれぞれに団体所属しない個人を含めて土曜日、日曜日、平日の夜に集まり、活動してきました。
まず、日常生活に対する不便さ調査を行いました。不便さを解決した例の1つにシャンプーとリンスがあります。シャンプーの側面にはギザギザがつき目の不自由な人及び目をつむって髪を洗う大多数の人にも触って識別できるようになっています。1社が始めたものを日本工業規格にして、みんなで進め、今では日本の大多数のシャンプーにギザギザがついています。
今日お話しをお聞かせいただいて非常に感動しました。私なりに分類をしてみたところ大きく3つに分かれたと思います。1つ目は、専用品、福祉用具、障害者・高齢者、その人たちだけが使うもの。それからユニバーサルデザイン。最後はソフトの部分。この3つです。
専用品の中では車いす用のレインコート。東さんがおっしゃったように、棒を挟んだところ、ニーズを着られるところだけではなく、たためるという ところまで、ちゃんと話を聞いているところ。
もう1つ、ユニバーサルデザイン、共用品。ガーデニングが片手でできるといっても、ずぼらな人や、もっと簡単にやりたいと思った人にも良いと思いましたし、カメラも同様です。
それから小袋オープナーも見事でした。
視覚障害者を知るためのリーフレット。商品開発なので、これは対象ではない、という議論もあったかもしれませんが、このプロジェクトでの皆さんの一番の原点は、障害がある人、高齢者、日常生活で不便な点がある、どんな人がどんな不便かを、知ることを学んだと理解します。そのことが実は一番大きなこと、そして、みなさんが「知ったこと」をみんなに伝えるという目的でこのリーフレットを作るというのは、素晴らしい発想と感じました。
そして、見えない人の不便さを知る中での、白杖の人たちが困っていることを知らせる白杖用ライト、そこまでたどり着いたのではないかと理解します。
ものをつくっていくときに幾つかポイントがあります。その1つは、つくったものはその時点でボトム、そこからスパイラルアップで、より多くの人たちに使えるようにつなげることです。いいものを見せていただきありがとうございました。